鎌倉明弘個展&豊田奈緒、椋本奈津子2人展
2011年8月29日 カテゴリー:個展・グループ展
豊島区南長崎のターナーギャラリーの二つのスペースで卒業生と在校生がそれぞれ個展と2人展を開催していましたので行って来ました。
1階のスペースでは卒業生の鎌倉明弘さん(04年学部卒業、現在工房助手)が個展を開催しています。9/2まで。「A.D.I.C.T M.E.L.T P.L.U.T.O 中毒 溶解 冥王星」と題された個展は下の画像をご覧いただければわかる通り、非常に力のこもった大作でした。鎌倉さんは概念表現の学部時代から一貫して大規模なインスタレーションを中心とした制作を続けていて、力のある作家に成長して来ました。
http://www.turner.co.jp/gallery/event/110820.html
上の作品はぼやけているように見えますが、数万本の綿棒で構成されています。その巨大な直方体が30分に一度、自動的に回転します。
回転中は迫力です。
タイトルにもあるように、今回の個展は先の原発事故を彷彿とさせます。実は鎌倉さんのご実家は福島第一原発から40キロほどの位置にあり、「A.D.I.C.T M.E.L.T P.L.U.T.O 中毒 溶解 冥王星」このタイトルどおりメルトダウン、中毒=被曝を連想させ、さらにPluto、つまりギリシャ、ローマ神話での冥界の王であり、転じて太陽系矮惑星冥王星に名付けられ、プルトニウムの語源にもなったその名を題されています。原発事故と本人の故郷に対する思いが、単なる説明や批判ではなく昇華されているように感じました。
3階のスペースでは在校生の豊田奈緒さん(形象表現3年)、椋本奈津子さん(概念表現3年)の2人展が開催されています。9/2まで。
http://www.turner.co.jp/gallery/event/110827.html
豊田さんの作品です。独特の世界感ですが、近頃クオリティーが向上して来ました。
椋本さんの作品です。花を連想させますが、オールオーバーな抽象的な画面です。二人の作品の方向性は随分違いますが、今回は自主企画の2人展ですので、逆に面白みも出たと思います。
鎌倉さんは先週からでしたが、2人展はこの日がオープニングで大盛況でした。中央の二人が左から豊田、椋本さんです。講師の北浦先生(右から2人目)、薄久保先生(右端)も駆けつけ、先日のミズマアクションでの個展が素晴らしかった卒業生の宮崎勇次郎さん(左から2人目)も顔を見せてくれて、和やかで良いパーティーでした。こうした年齢を超えた交流はアーティストにとって大切なことだと思います。
(教員:近藤 昌美)