2011年5月13日 カテゴリー:形象表現
今年度から形象表現研究指標の非常勤講師に就任していただいた、薄久保香先生をご紹介します。薄久保先生は本学絵画専攻を卒業後、他学の大学院、博士課程を修了し現在は新進気鋭の画家として華々しくご活躍中です。
薄久保先生も形象研究指標の出身です。一番若い教員ですので、学生たちにとっては身近でありながらもその発表業績はあこがれの対象になることでしょう。今年も横浜トリエンナーレへの参加、東京、ベルリンでの個展、佐藤美術館での招待作家としての展示など展覧会も目白押しで、その評価は高まるばかりです。これからきっと良い影響が学生たちに出てくることでしょう。
形象2年生と。下記は本学教員紹介のurlです。合わせてご覧下さい。
http://www.zokei.ac.jp/professor/index.html?id=288&blng=10
(教員:近藤 昌美)
2011年5月11日 カテゴリー:お知らせ
昨秋、青梅市で開催された〈アートプログラム青梅2010「循環の体」展〉
2010年 10月30日(土)〜11月28日(日)
カタログA4、全80ページ刊行。
母袋俊也(絵画専攻領域教授)
「M377 TA・KY OB AS HI」
「M378 Kyobashi 1」
「風景にみる視線の双方向性 KY OB AS HI-OHME」
絵画を考えようとする時、視線の双方向性、絵と眼差しとの関係は、僕のなかでその重要性をますます強くしてきているように思える。それは絵画が果たそうとする使命を考えることにほかならない。
僕が視線の双方向性について初めて意識したのは87年のロシアでのイコン体験であった。
教会内では、乏しい光のもとイコン壁を前に老婦が立ち、そこに描かれた聖人たちに視線を注いでいた。その姿は同時に静謐のなか多くの聖人に見守られているかのようにも思えたのだった。そこには見、見られる関係、視線の双方向性があり、絵画からの視線、絵画の果たすべき役割があるように思えたのでした。
実は、そのような見、見守られる関係を僕は風景にも強く感じることがあるのです。
03年、妻有で制作した《絵画のための見晴らし小屋》の窓は越後三山の稜線を切り取ったものだった。そもそも「風景」とはデカルト的明晰な眼によって秩序づけられ形成される。すまわち対象、世界はわれわれの視線の束によって捉えられているというのである。しかし有史以前からそこにあったのであり、後に人々は盆地の内側にあって、生を営んできた。
それは、山を見ながら、そして山々に見守られての暮らしであった。
デカルト的に言えば、その視線により対象を秩序づけ風景を生成、支配するかにみえる人は、実はその対象である山に見られることをとおして生き、存在を顕かにするのである。
そこに絵の使命を風景の中にも見出すのである。それが僕の風景を描くテーマの一つの理由でもあるのである。
今回出品した《M377 TA・KY OB AS HI》は、風景を手掛かりに障屏画をモデルに展開している”TA”系に属する。08年、京橋のINAXギャラリーの展示むけ想念上の関東平野をモデルに画面水平戦上部には平野西部の多摩の山々の稜線が描かれていた。
期せずして今回、その多摩地区、青梅は青梅市立美術館に作品は移され、日本画展示ケース内への展示が試みられ、京橋方面と対面する機会を得た。画面内に描かれた想念上の関東平野の水平性は京橋、青梅、2箇所の展示を経て画面を貫き大きく延長、東と西を接続させ、内側に立つわれわれとの対面を果たしたかに見える。
2010,12 母袋俊也
白井忠俊(1996年 絵画専攻卒業)
想像してもらいたい。
例えば、長大な画巻である横山大観《生成流転》そしてやまと絵の名品《日月山水図屏風》を描かれた内容のみを重視し、絵画形成をゼロベースに設定してみる。例えば、短形であること、絵巻物であること、屏風であることをゼロにしてみる。
《生成流転》を始まりと終わりを繋ぎ合わせ円筒状態に展示する。
《日月山水図屏風》を蛇腹折りでなく、12面体の円筒にして展示する。
どうだろうか?円筒の状態であるほうが自然ではないだろうか。なぜなら、どちらにも東洋哲学がもつ、循環や輪廻が作品内容に含まれているからではないか。
人類の歴史において円筒に絵を描くことは奇をてらった行為だろうか。縄文土器の円筒面は表現の場ではなかったのか。
いつの時代も人々は終末思想、末法思想に心ひかれる。”円筒絵画”は循環する時間制を発生させ、「終わらない」ことを実感させる。
私たちが「終わり」に囚われることから自由になれるかもしれない。
「いつもと変わらない一日」
手前から
「何を知りたかったのか忘れてしまった」
「どんな答えを欲していたのか忘れてしまった」
「何を探しているのか忘れてしまった」
学生出品作家
滝川おりえ
「ON」
藤原佳恵
「彷彿」
大城夏紀
「瞬間の認識」
磯邉寛子
「那由多」
佐藤理恵
「マダム・ブループラム」
野坂紗智
「lines」
榊貴美
「I’m looked when I’m looking」
佐藤賢
「1㎜の視点」
佐藤慎吾
「識閾の風景」
ガイドツアーの様子
(助手:真之介)
2011年5月9日 カテゴリー:その他
栃木県宇都宮市に進学説明会のために行って来ました。進学説明会とは広い会場を30ほどのブースに区切り、そこを借りた大学や専門学校が会場を訪れる受験生に入学の情報を提供するという催しです。主に栃木県内の高校生が対象ですが参加している大学、専門学校は美術、デザイン系に限られ、それらを目指す受験生に少しでも多くの入学情報を伝えるべくどのブースの学校も工夫を凝らしています。我々教員は持ち回りで年に何回かはこうして全国の説明会に出張します。関西や東北の美大も参加していました。また、地元の美術予備校もブースを出しておりますので、お互いに情報交換の場でもあります。
会場は宇都宮市内のマロニエプラザという大きな体育館のような施設です。
入試合格者作品などを展示している準備風景です。高校生がたくさん来場中は対応に忙しく撮影している時間もありません。会場全体の来場者総数は350名ほどでした。
千葉の予備校もブースを出していて、そこの講師をしている卒業生から声をかけられました。高宮宙志君(2008年学部卒業)です。卒業後は受験生の指導をしながら制作を続けているようです。
こうした地道な広報活動も授業運営とは別に大切なものですが、どの教員も来年度も良い学生に来てもらいたいと丹念に取り組んでいます。
(教員:近藤 昌美)
2011年5月3日 カテゴリー:個展・グループ展
卒業生の五月女哲平君(2004年学部卒業)が栃木県小山市の市立車屋美術館で個展を開催中(4/16~6/19)ですので行って来ました。この美術館は地元の旧家の日本家屋や蔵ごと保存されていて、敷地内に展示スペースも作ってあります。「車屋」とはこの旧家小川家の屋号のようです。
JR宇都宮線間々田駅から徒歩数分で車屋美術館に到着です。入口がいわゆる美術館とはおもむきが違いますね。
今回の展示は絵画作品を中心に立体やインスタレーション、写真作品までと小さな展示空間に関わらず見応えのある内容でした。展示室の向かい側にある小川家旧宅の洋間にも作品が展示してありました。
五月女君は現在目黒の青山目黒ギャラリーでも個展を開催中です。(4/30~6/4)こちらはまだ行っていませんが、行く機会がありましたらアップします。http://www.aoyamahideki.com/
たまたま車屋美術館会場で、やはり卒業生で同期の高橋大輔君に会いました。彼は五月女君とは予備校時代の高校生から一緒だったようで、彼もこのブログにもアップ済ですが年内にも何回かの展示があり、来年に個展も控え大変頑張っていますが、二人は良いライバル関係なのでしょう。下は五月女君の作品の前の高橋君です。
(教員:近藤 昌美)